ソーラー電動車椅子S3の製作にあたって
1997.11.29
薄 俊也 (Shunya Susuki)

S3の基本仕様

 これまでソーラー電気自動車(S1S2) の2台を作りましたが、今回はS3として車椅子に挑戦してみました。ソーラー車椅子の構想はちょうどソーラー電気自動車を作り始めた9年前ぐらいから持っ ていたもので、実際に製作にとりかかったのは車椅子を購入した半年前ぐらいからです。購入した車椅子は自走式のもので研究すればするほど無駄のない合理的 な構造であることを知り、その度にモーター等の動力系から一つ一つのスイッチまで当初の計画を変更していきました。すなわちモーターの駆動伝達方式、制 御・操作性の追求はもとより、自走式車椅子の現在の機能を損なわずソーラーパネル、モーター、バッテリー及びスイッチ等をどのように取り付けていくかが焦 点となっていきました。そして、特に最後まで気を遣ったのが、乗り降りのし易さでした。実際に、お二人の車椅子ご利用者に乗って頂きましたが、幸いなこと に好評を得ることができ、遣り甲斐を感じました。ただし、今回実現できなかった機能の一つに車椅子の折り畳み機構がありますが、これは今後の研究課題で す。(試乗実験:動画 1,042KB

 ところで、急速に高齢化が進む日本において車椅子の需要は今後大きくなると思われ ます。そして使い易さ、安全性、好み等の観点からいろんな機能やデザインが車椅子に求められていくものと想像されます。一方、自動車の分野でも、地球環境 にやさしい電気エネルギーを主とする小型の自動車の開発が今後進んでいくものと思われます。次元が違うと思われるでしょうが、将来電動車椅子の研究はおそ らく自動車の分野にも影響を及ぼすことになるかもしれません。あたかもコンピューターの分野で起こったダウンサイジングすなわち大型電算機に対抗して小型 のワークスティションやパーソナル・コンピュータが予想以上に性能が上がり普及していったのと同じように。

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