「レオナルド ダ ヴィンチ」の目の高さと「モナ リザ」との距離についての考察過程 by 薄 俊也(Shunya Susuki) 2007.1.20 |
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●彫刻と絵の比較において、まぶたやあごの輪郭からダヴィンチの目の高さは、モナリザの胸元(彫刻の台座面) | |
今回の視点の高さは、背景にある建物輪郭の延長線等の交点から割り出したのではなく、彫塑の作業過程から推測したものです。 絵画の顔の中央に視点があるとして、あごのラインや上まぶたのラインを絵のとおりに制作すると、将棋の駒のような四角ばった、しかも、ギョロ目の顔になります。 |
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ところが、私がイメージした別アングルからのCG(左図)に沿って作った彫刻を、下方からみると絵画と同じあごの輪郭になることに気がつきました。 | |
●絵は画面中央を視点とするオーソドックスな遠近法で描かれていると仮定 | |
また、目に関しても、若干伏し目のイメージで目を作り、下方から見ると絵のような目の輪郭になることがわかりました。このことから、画家の目の位置は、モデルの顔の位置にあるのではなく、ちょうど胸元ぐらいと判断しました。 それは、絵の画面中央と重なります。 |
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モデルと画家の距離の算出方法 | |
画家の目の高さが決まれば、次はモデルと画家の距離です。 よく言われているモナリザの手が異常に大きい点(左図:同大の手を顔に置いた場合)に着目しました。 すなわち、顔の位置における手の大きさがわかれば、遠近法の特性からモデルと画家の距離を割り出せると考えたからです。 「鍵になるのは顔の位置での手のサイズ」 |
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顔の位置での手のサイズの考え方 | |
モナリザの右手は左手の上に重ねられ、指は曲がっています。また、斜め上から描かれ、指がピンと伸び、かつ、正面垂直方向から見れば、もっと長い大きな手になることを考慮しなければなりません。 そこで、絵のような肘掛いすに座り左手の上に右手が来た時の右手の形状を維持したまま、目の指圧ツボ(左図の位置)に右手人差し指と中指を置いた場合を考えてみました。 ちょうど、右手は鼻を包み込むような形状となり、手のひらの下端があごのところにつく感じになります。これぐらいの大きさが妥当な右手の大きさであると想定しました。 これは先ほどのグローブのような手の8 割の大きさに当たります。 逆に、このサイズを1 とすると、グローブのような手のサイズは逆算で1.25 倍になります。 |
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●モナリザの手が普通より大きく見えていることに着目して、モナリザとダヴィンチの距離を以下の方法により算出すると1m。 | |
モナリザの顔の位置Aより20cm 前方にある手Bが、通常の大きさの1.25倍に見えたとすると、位置Aと視点Cとの距離Xは下記のようになります。 L:(X−20)=1.25L:X L・X=1.25L(X−20) 0.25X=25 (参考)A・B間が15cm の場合 X=100cm X=75cm |
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●絵は立体にしても矛盾がなく、写真と同じぐらい写実的である。よって、モデルは実在している。 | |